AIで書いた記事はペナルティ?公式の判定軸で点検する
AIに下書きを書かせた記事が、手元に何本かたまっている。読み返すと悪くない。でも公開ボタンを押す手が止まる——「これ、Googleにペナルティを受けたりしないだろうか」。
この不安は、たいてい「AIを使ったかどうか」という一点に集中しています。使ったからダメなのか、使わなければ安全なのか。そこだけを気にしていると、判断材料が増えないまま時間が過ぎます。
この記事では、自社サイトを自分で良くしたい担当者に向けて、Google公式ドキュメントの記述で確認できる範囲だけを土台にして、AIの下書きを公開してよいかを仕分ける手順を整理します。使うのは「AIか人間か」ではなく、公式が焦点として挙げている別の3点です。
公式ドキュメントが焦点として挙げていること
まず、確認できる記述を押さえます。ここが判断の土台になります。
Google 検索セントラルの「有用で信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成」は、コンテンツを評価するときの見方をこう書いています。独自性・網羅性・価値を評価し、外部からのフィードバックも考慮すること。そして、コンテンツは専門性、出どころの明確さ、信頼性(E-E-A-T)を示すべきである、と続きます。E-E-A-T は経験・専門性・権威性・信頼性の頭文字として紹介されることが多い呼び方ですが、この記述で並べられているのは専門性・出どころの明確さ・信頼性の3つです。
そのうえで、同じページには次の記述があります。誰がコンテンツを作ったか、どのように作られたか(自動化やAIの利用を含む)、そして最も重要なこととして、なぜ作られたかに焦点を当てること。
ここが今回いちばん大事な部分です。「どのように作ったか」の中に、自動化やAIの利用が明示的に含まれている。つまり、AIを使ったかどうかは焦点の外にある話ではなく、「どのように作ったか」という問いの一部として扱われています。そして公式の記述では、その3つの中で最も重要とされているのは「なぜ作ったか」のほうです。
自動生成するときに向けるべき先
もう1つ、「AI 生成コンテンツに関する Google 検索のガイダンス」に、実務でよく見落とされる記述があります。
ウェブ向けにコンテンツを作るときは、正確性・品質・関連性に集中すること。特に自動でコンテンツを生成する場合はそうである。これには、検索結果に表示されうる <title> 要素、メタディスクリプション要素、構造化データ、画像の代替テキストといったメタデータも含まれる。
読み飛ばしやすいのですが、ここで対象として名指しされているのは本文だけではありません。タイトル、説明文(検索結果に出る短い紹介文のことです)、構造化データ(ページの内容を検索エンジンが理解しやすい形で書き添えるしくみです)、画像の代替テキスト(画像が表示されないときに読まれる説明文です)まで含まれています。
AIで下書きを作るとき、人が丁寧に見るのはほぼ本文です。タイトルと説明文は生成されたものをそのまま使い、代替テキストは空のまま、という記事は珍しくありません。公式が「特に自動生成する場合」と言って挙げている範囲は、その見落としがちな場所まで届いている——これが、後述する点検手順の骨格になります。
参照先として案内されている2つの節
同じガイダンスには、Search Essentials とスパムポリシーの基準に触れたうえで、品質評価ガイドラインで「規模的なコンテンツの不正利用(4.6.5節)」と「労力・独自性・付加価値がほとんどない主要コンテンツ(4.6.6節)」がどう評価されているかを見ると参考になるかもしれない、という案内があります。
「規模的なコンテンツの不正利用」は、名前のとおり「規模」——つまりコンテンツを大量に作ることに関わる項目として説明されることの多い呼び方です。ここで押さえておきたいのは、参考として名指しされている節が「規模的なコンテンツの不正利用」と「労力・独自性・付加価値がほとんどない主要コンテンツ」の2つだという点です。どちらも制作手段の名前ではなく、できあがったコンテンツの状態を指す言い方になっています。
スパムポリシー側の記述も見ておきます。「Google ウェブ検索のスパムに関するポリシー」のページ要約には、ポリシーの狙いは、人をあざむくコンテンツと順位の操作を防ぐこととあり、禁止される行為としてクローキング、誘導ページの不正利用、期限切れドメインの不正利用、ハッキングされたコンテンツや隠しコンテンツの使用が挙げられています。ただし、この抜粋は「その他の違反」と続くところで切れており、ポリシー全体ではありません。全体を確認したいときは出典のページを直接開いてください。
抜粋から言えること・言い切れないこと
出典の記述と、そこから自分のサイトの判断に使ってよい範囲を分けておきます。
| 公式の記述で確認できること | この記述から自分の判断に使ってよい範囲 | この抜粋だけでは言い切れないこと |
|---|---|---|
| 焦点は「誰が・どのように(自動化やAIの利用を含む)・なぜ」 | この3点に自分の記事が答えられるかを点検する | 3点に答えられれば順位が上がる、という因果 |
| 最も重要なのは「なぜ作ったか」 | 制作手段より先に、出す目的を1文で言えるか確かめる | 目的が明確なら他の点は不問、という優先順位 |
| 自動生成時は正確性・品質・関連性に集中。対象にタイトル・説明文・構造化データ・代替テキストを含む | 本文だけでなくこの4カ所も人の目で確認する | 4カ所を直すとどれだけ検索結果が変わるか |
| 評価の参考として「規模的な不正利用」「労力・独自性・付加価値がほとんどない主要コンテンツ」が案内されている | 自分の記事がこの2つの状態に近づいていないか自問する | 何本以上・何割以上なら該当する、という線引き |
| スパムポリシーの狙いは、あざむくことと順位操作を防ぐこと | 「読者のため」か「順位のため」かを自分で答える | 抜粋に列挙されていない違反行為の全体像 |
右端の列は、記事を書くときに私たちが足したくなる部分です。ここに書いたことは公式の記述の外側なので、この記事でも断定しません。
AIの下書きを公開前に通す7ステップ点検
ここからが実際の作業です。公式が焦点として挙げている3点と、自動生成時の対象範囲を、そのまま点検項目に落とします。1本あたり15分程度を想定しています。
- 「なぜ出すのか」を1文で書く。 記事の冒頭ではなく、自分用のメモに書きます。「読者の◯◯という困りごとを、◯◯まで答えて解決するため」。ここが「検索順位を取るため」しか出てこないなら、この時点で戻ります。公式の記述で最も重要とされているのがこの問いです。
- 「誰が」出しているかをページ上で確認する。 執筆者・編集者・運営元が、記事を読んだ人にたどれる形になっているか。名前が出ていない場合、どの立場の人が書いたかだけでも分かるようにします。
- 「どのように」作ったかを言葉にできるか確かめる。 AIをどこまで使い、人がどこを確認したか。社内で説明できないなら、確認していない箇所が残っているということです。読者に開示するかどうかは別として、まず自分が答えられる状態にします。
- 独自性・網羅性・価値を自分で採点する。 それぞれ「この記事にしかない部分はどこか」「読者が別のサイトで調べ直す項目が残っていないか」「読み終えて何ができるようになるか」を1行ずつ書き出します。書けない項目が独自性なら、そこが最優先の加筆箇所です。
- 事実の出どころをたどる。 AIが書いた数値・仕様・引用は、そのままでは出どころが分かりません。1つずつ元の資料に当たり、当たれなかったものは削るか、断定をやめて弱めます。出どころの明確さは公式が挙げている観点の1つです。
- 本文の外を4カ所点検する。 タイトル、説明文、構造化データ、画像の代替テキスト。自動生成のまま残っていないか、ページの中身と食い違っていないかを見ます。この4カ所が対象に含まれる、と公式のガイダンスに書かれている以上、本文だけ見て終わりにはしない、という区切りです。
- 外部の目を1人分入れる。 社内の別の担当者でも、その分野に詳しい知人でも構いません。外部からのフィードバックを考慮することは、公式が挙げている評価の一部です。1本すべてを読んでもらう必要はなく、手順4で書き出した「この記事にしかない部分」が本当にそう読めるかだけを聞きます。
実際に1本通してみる
抽象的なままだと使えないので、「請求書 電子化 手順」という検索クエリを狙ってAIに下書きさせた記事で、7ステップを通してみます。
手順1(なぜ): 最初に書けたのは「電子化のキーワードで上位を取るため」でした。これは戻り。書き直して「紙の請求書を電子に変えたいが、何から着手すればいいか分からない経理担当者が、初日に着手する1つ目の作業を決められるようにするため」。ここまで具体化すると、記事の終わり方も決まります。
手順2(誰が): 運営元の記載はあるが執筆者の情報がない。経理業務の経験がある担当者が書いたことが分かるよう、記事末尾に一言添える方針にします。
手順3(どのように): 「構成案と初稿をAIで作り、法制度に関わる記述は担当者が原典で確認した」——と書こうとして、実は確認していないことに気づきます。ここで手順5に前倒しで着手することになります。
手順4(独自性・網羅性・価値): 独自性の欄が空白でした。下書きの中身は、他社の解説記事と同じ一般論の並びです。ここで**「自社が実際に電子化したときに、いちばん時間を取られた工程」**を追記する方針に決めます。これが本文最大の加筆箇所になりました。
手順5(出どころ): 下書きにあった「◯年から義務化」という記述の出どころをたどると、AIの出力に含まれていた条件が実際の要件と食い違っていました。該当の1段落を削除し、公的な資料へのリンクに置き換えます。この工程が7つの中でいちばん時間を使いました。
手順6(本文の外): タイトルは生成されたままの「請求書電子化の完全ガイド【2026年最新版】」。手順1で決めた「初日に着手する1つ目の作業を決める」という目的と合っていないので書き直します。説明文は本文の冒頭コピーのまま。画像3枚の代替テキストはすべて空でした。ここまで来て初めて、下書きの手つかず部分が本文の外に集中していたことが分かります。
手順7(外部の目): 手順4で足した「いちばん時間を取られた工程」を経理担当者に読んでもらうと、「その工程でつまずくのは自社だけではない」という反応。独自性として成立していると判断しました。
7つのうち、実際に手が動いたのは4・5・6です。本文の文章そのものを直す作業はほとんど発生しませんでした。 AIの下書きで弱くなりやすいのは文章力ではなく、独自の中身と、出どころと、本文の外側だった——というのが1本通してみた結果です。
そのまま出す・加筆する・作り直すの仕分け
点検が終わったら、記事ごとに次の判定に振り分けます。何本もためている場合は、この表で処理の順番を決めると滞留が減ります。
| 状態 | 判定 | 次にやること |
|---|---|---|
| 手順1〜7がすべて埋まり、独自性の欄に具体的な中身が書けた | そのまま公開 | 公開後に検索結果での表示のされ方を見る |
| 独自性の欄は書けたが、手順6の4カ所が手つかず | 加筆して公開 | タイトル・説明文・代替テキストを先に直す。ここは短時間で終わる |
| 出どころをたどれない記述が複数残っている | 加筆して公開 | 該当箇所を削るか断定をやめる。埋め戻せないなら公開を保留 |
| 独自性の欄が空白のまま埋まらない | 作り直し | 記事を直すのではなく、手順1の「なぜ」から立て直す |
| 「なぜ」が順位を取るため以外に書けない | 作り直し | そのクエリを狙うこと自体を見直す |
「作り直し」に落ちた記事を無理に加筆で救おうとすると、一般論の上に一般論を重ねただけの長い記事になりがちです。文字数は増えますが、独自性の欄は空白のままです。ここは戻る判断のほうが早く終わります。
なお、下書きの本数が多くて全部は見きれない、というときは、公開済み記事の手当てと同じ考え方で優先順位をつけられます。どの記事から手を入れるかの決め方は既存記事のリライト優先順位のつけ方にまとめています。
よくある勘違い:順位が下がったのはAIのせいか
AIで書いた記事を出したあとに順位が下がると、原因をAIに結びつけたくなります。ここで手を打つ前に、確認しておきたい公式の記述があります。
「Google のコア アップデートについてウェブマスターが知っておくべきこと」には、変更を加えるときの心構えとしてこう書かれています。「SEOに悪いと聞いたからページの要素を削る」といった応急処置的な変更は避けること。代わりに、ユーザーにとって意味があり、長期的に持続する変更に集中すること。
そして、下落したときの見方についてはこうあります。サイト全体で持続的な大きな下落があった場合は、自己評価の項目を読み、サイト全体が(個々のページだけでなく)有用で信頼でき、ユーザーを第一に考えたコンテンツを提供できているかを確認すること。サイト全体をよく見て、客観的であるよう努めること。
**「個々のページだけでなく」「サイト全体をよく見て」**という部分が実務では重要です。順位が下がった記事1本を消したり、AIで書いた記事だけを慌てて下げたりするのは、公式が避けるよう書いている「応急処置的な変更」に近い動き方です。特定の要素を消す前に、サイト全体で見たときにこの記事群が何を提供できているかを、いったん自分で採点するほうが先になります。
もう1つ、これはこの記事の解釈として書きますが、AIで書いたかどうかは記録に残っていても、下落の原因として切り出せる形にはなっていないことがほとんどです。同じ時期に競合が記事を増やしていたり、検索する人の関心そのものが動いていたりします。原因を1つに決めてしまう前に、下落がサイト全体なのか特定の記事群なのかを分ける——そこまでは自分のデータで確かめられます。
E-E-A-Tの観点から記事の中身を点検する手順はE-E-A-Tを自社記事に足すチェックリストに別途まとめていますので、手順4で独自性の欄が埋まらなかったときはあわせて使ってください。
明日から変えられること
長くなったので、持ち帰る形にまとめます。
- 迷ったときに立てる問いを、「AIを使ったかどうか」から**「誰が・どのように・なぜ」**に切り替える。公式が焦点として挙げているのはこの3点で、最も重要とされているのは「なぜ」です。
- AIの下書きで手薄になりやすいのは文章ではなく、**独自の中身・事実の出どころ・本文の外側(タイトル、説明文、構造化データ、代替テキスト)**の3カ所。点検の時間はここに配分します。
- 独自性の欄が空白のまま埋まらない記事は、加筆ではなく**「なぜ」から作り直す**。
- 順位が下がっても、要素を削る応急処置に走らず、サイト全体で見たときの中身をいったん自分で採点する。
止まっている下書きが手元にあるなら、まず1本だけ7ステップを通してみてください。おそらく、直す場所は思っていたところとは違うはずです。
出典
